今後、超高齢化社会に突入する日本にとって、医療制度の改革は急務です。現在、日本ほど高齢者割合が高い国はほかにありませんが、いずれは世界各国が日本の後を追い高齢化社会に突入します。

だからこそ、日本は高齢化社会でも成り立つ医療制度を率先して確立し、世界の模範とならなければなりません。2025年には団塊の世代が後期高齢者になります。超高齢化社会は目前まで迫っているのです。今後の医療制度のあり方を模索するなかで、注目を集めている制度がかかりつけ医制度です。

 

かかりつけ医制度とは

かかりつけ医制度とは、患者に第一に診察を受ける医師を持ってもらう制度です。患者は原則どんな症状でも、まずはかかりつけ医のもとに行き診療を受けます。普通、患者は症状が出ている箇所から自分で見当を付けて、かかる医療機関を決めます。ひざが痛ければ整形外科、耳が痛ければ耳鼻科など自らの判断で医療機関を探しますが、かかりつけ医制度では症状がどうであれ、まずかかりつけ医で受診します。その後、そのかかりつけ医の判断により、必要であれば専門医療機関や大学病院で受診するようになるのです。

 

かかりつけ医機能「機能強化加算」の概要

かかりつけ医制度は、2018年2月に中央社会保険医療協議会による診療報酬改定案に伴い決定し、同年4月から診療報酬に盛り込まれました。かかりつけ医制度の概要は以下のようになります。

80点分請求できる

かかりつけ医に認定された医療機関では、初診時に患者に対して機能強化加算という名目で80点分請求することができます。これは総合病院や大学病院など専門医療機関への受診の要否の判断を含めた初診時の医療機能を評価する点数となります。

患者の初診負担は3割アップ

患者は今まで初診時には初診料として282点が請求されていましたが、かかりつけ医制度では、初診料+機能強化加算(80点)の計362点が初診時に請求されます。患者の実質的な初診料負担は約3割増額することになります。

 

かかりつけ医制度の課題

かかりつけ医制度は今後の日本社会の医療において欠かすことができない医療制度ですが、まだ始まったばかりの制度ですので、課題はまだまだあります。今までの医療制度とは受診の仕組みが変わるため、最初はどうしても医師も患者も困惑するでしょう。

受診の課題

患者が医療機関で診療を受けるうえでの課題が少なからず存在するので、事前に理解したうえでかかりつけ医の診療を受けるようにしましょう。

専門疾患患者の診察機会を奪う

かかりつけ医となった医師も、もともとは何かの専門医です。患者のなかにはその専門疾患治療のために通っている人もいます。しかし、かかりつけ医として近所の患者を診るようになると、専門疾患患者の診察時間が相対的に削られる可能性があるので、今まで以上に事前に診察予約することが大事です。

急病時は手遅れになる可能性も

急病時も、原則はかかりつけ医にまず連絡します。症状が重い場合は刻一刻を争うため、かかりつけ医に真っ先に連絡をする必要があります。急病時であっても、すぐに対応してくれる病院はまれです。24時間対応なのは救命病棟がある病院ぐらいですし、タイミング次第では受け入れが難しい場合もあります。一方、かかりつけ医はいつでも対応が可能で、近隣のかかりつけ医であれば、すぐに訪問できます。急病時こそ、かかりつけ医制度は役割を発揮するのです。

80点分の金額を患者が負担

患者の負担が大きくなるのは避けられない事実ですが、自己判断で総合病院に行った場合に、最新機材で何種類も検査を受ければ、そのぶん診察代は高くなります。総合病院の医師も、初めて受診する患者のことは何もわからないため、できるだけ細かく検査をします。しかし、かかりつけ医なら、患者の過去疾患からすべて知っていたり、大々的な診察をせずとも判断できる場合があったりするため、結果的にかかりつけ医で診察を受けたほうが負担は減るかもしれません。

 

医師の課題

医師にとっても課題があります。以下、医師自身の課題について解説します。

専門医になりづらい

かかりつけ医になると広く浅い知識も求められますので、専門医になりづらくなる可能性があります。勉強する時間がとれなくなるかもしれません。どの地域にも糖尿病専門医や慢性腎臓病(CKD)専門医などがいますが、かかりつけ医制度が主流となった医療制度のもとでは、総合病院や大学病院で専門疾患を診察し、かかりつけ医は、患者の状況を総合的に判断し診察する役割が求められるようになるでしょう。

医療提供者の負担が増

設備の調整や診療時間外診察が必要になることが考えられます。これらの対応は義務づけられてはいませんが、対応方法を検討する必要がありそうです。

医師・患者双方の理解がかかりつけ医制度を定着させる

かかりつけ医制度は地域医療の円滑化や超高齢化社会を考えると必要な制度です。しかし、今までの医療とは診療の流れ・仕組みが大きく変わるので、制度が浸透するまで、現場では少し混乱が起きるかもしれません。かかりつけ医制度を含めた新しい地域医療を構築するためには、医師・患者双方の理解がひとつのポイントとなりそうです。

 

まとめ

2018年4月からかかりつけ医制度が始まりました。将来の医療体制にとって大切なこの制度を定着させるには、医師・患者双方がお互い理解し合い、新しい地域連携医療の構築を目指していくことが望まれます。

 

参考:

 

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