2018年W改定の影響から考察する 「その他」型介護老健は、老健として生き残ることが出来るのか? 「2018年の介護報酬改定で、介護老人保健施設の施設基準に従来の在宅復帰率やベッド回転率、退所後の状況確認等を中心に算定要件が決まる仕組みが大きく見直され、“在宅復帰率・在宅療養支援等指標”(以下、同指標)と呼ばれる算定要件が新たに導入された。①から⑩までの非常に詳細な評価項目に基づき、極めて厳格な在宅復帰・在宅療養支援機能が要求される。これを運用すると、実際にベッド稼働率を上げようとすると在宅復帰率が低下し、在宅復帰率を上げようと努力すると稼働率が低下するという悪循環に陥ってしまう。 「このジレンマの中での経営を余儀なくされているのがW改定後の介護老人保健施設の実態だと思う」と語るのは、現在、90ベッドの「基本型」介護老人保健施設(以下、老健に略)を運営する医療法人の理事長だ。従来は「在宅強化型」、「加算型」、「従来型」の三種類の施設類型で運用されてきた老健だが、改定後は「基本型」、「加算型」、「在宅強化型」、「超強化型」、「その他」型の5つの類型で運用されるようになった。 同指標は、前出10項目の合計(最大90)でポイント化されるが、在宅復帰・在宅療養支援機能が最も高い「超強化型」は「70以上」、「在宅強化型」は「60以上」、「加算型」は「40以上」、「基本型」は「20以上」であり、これらの基準が満たせない老健は「その他」型へと下方修正せざるを得ない。 「加算型」は「在宅復帰・在宅療養支援機能加算(I)」を算定している「基本型」施設で、「超強化型」は同加算(II)を算定する「在宅強化型」という位置づけになる。 更に、この他にも①「通所時指導等」の実施、②「リハビリテーションマネジメント」の実施③「地域貢献活動」④充実したリハ(週3回程度以上のリハビリテーションの実施)-の4つの算定要件があり、「超強化型」、「在宅強化型」は①~④の全てが要求され、「加算型」は①~③まで。「基本型」は①と②のみと要件緩和される一方で、ハードルが低くなればなる程、基本報酬は低く設定されている。 報酬の高い順にランク付けをすると①超強化型②在宅強化型③加算型④基本型⑤その他-の順で並び、最下位ランクの「その他」は同指標や前出4つの算定要件からも対象外だ。要するに、現在は「基本型」でも同指標や算定要件の満たせない老健は、「その他」へと下方修正せざるを得ない。 基準看護が導入されていた遥か昔に、「その他看護」という範疇の看護基準があったことを思い出す。厚生労働省が「その他」というキーワードを使うのは、現状の機能のままだと将来、老健として生き残れないということだろう。 九州大学名誉教授で「JAHMC」(※)編集専門委員を務める尾形裕也氏は、「JAHMC」2019年1月号の「岡目一目」(医療政策論)で次のように指摘している。 … Continue reading 介護老人保健施設の経営は、なぜ低空飛行するのか?(前半)
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