2020年4月の診療報酬改定で、ギャンブル依存症のケアに係わる報酬新設が実現したと聞きました。私自身、大学病院勤務医時代にアディクション治療に力を注いできたので、非常に関心があります。これは国が進めるIR法案と関連した話なのでしょうか?これが出てきた背景と、内容も含めて教えて下さい。

(都心部 診療内科 クリニック院長・48歳)

 A.告示の中にはIR法案の記述はありませんが、この新機軸がIR法案の成立と関連しているのは疑いのない事実です。 

2020年3月5日に2020年度診療報酬改定の告示が示され、依存症集団療法の対象疾患に、「薬物依存症の場合(340点)」と共に「ギャンブル依存症の場合(300点)」が追加されました。厚生労働省の示す施設基準に適合した医療機関で、ギャンブル依存症の患者に集団療法を実施した場合、治療開始日から3か月間に限り、2週間に1回に限定して算定可能です。 

国が規定した条件を満たす同依存症の専門医療機関であり、医療スタッフとして専任の精神科医に加え、専任の看護師または作業療法士が各々、1名以上勤務していることが必要です。何れも、同依存症に対する集団療法に係る適切な研修を修了していることが要件です。 

さて、これが出てきた背景ですが、短冊や答申、告示の中にはIR法案の記述はありません。しかし、この新機軸がIR法案の成立と関連しているのは疑いのない事実です。中医協の議論でも、確かに支払い側委員等から、「ギャンブル依存症は健康被害ではなく、医療がカバーするものではない」との強硬な反対意見等もあり、保険適用は国民の理解を得られないとの見方もありました。どちらかと言うと、厚生労働省が非常に前向きで、アメリカの例等を挙げながら、「ギャンブル依存症は脳疾患の一つ」と主張し、押し切った経緯があります。その点では、各委員よりも厚生官僚の方が“前のめり”だったようにも見えます。国が国民に同依存症対策に努力しているとの姿勢を示したいのは、容易に想像が付きます。 

IR法案成立は別としても、実際、ギャンブル依存症、薬物依存症、アルコール依存症等のアディクション患者は何れも増加傾向で推移し、厚生労働省のデータによると過去4年間でギャンブル依存症は約1.5倍に増加。需要増を背景に、「ギャンブル依存症外来」等を開設する精神科系医療機関の増えてきたのも事実です。 

(2020年4月度編集)