Q.今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受けての歯科診療における特例措置について
今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、時限的・特例的な対応として電話や情報通信機器を用いた歯科診療の実施が容認され、歯科診療報酬も算定できるとのニュースを見ました。本来、歯科医療は患者に直接、接触しなければ成立しないとされてきたので、オンライン診療の実施は想定外で戸惑いがあります。当クリニックはオンライン診療の設備等はないので、実施するならば電話になると思いますが、今回の歯科医療における特例的な対応についてご教示下さい。
(横浜市 歯科クリニック 院長・42 歳)
A.新型コロナ蔓延の非常事態で、初診「オンライン歯科診療」を容認
今回の歯科診療における特例的な扱いは、厚生労働省医政局歯科保健課から通知が出され、4 月24 日の中医協総会で了承されたもので、唐突感は否めません。
具体的な取り扱いの内容としては、従来から当該歯科医院に受診歴のある患者の場合、「電話等再診料」(53/44点)が算定できました。今回の取り扱いでは、受診歴のある患者に対し、歯科医師が初診でも診察可能と判断し、「現在、受診中でなくても新たに生じた症状に対して診療を行う」場合に「電話等を用いた初診料」(185 点)が算定可能になりました。加えて、処方料(42 点)、処方箋料(68 点)が算定可能なのは、現行の「電話等再診料」と同じです。
また、当該歯科医院に受診歴がなくとも、同様に歯科医師が電話等を用いた診療が可能と判断した場合、同様に「電話等を用いた診療料」(185 点)を算定できます。ただ、初診患者に電話等での診察を認めると、患者のなりすましや、虚偽診療等、更に医療事故等のリスクも想定されます。
そのため、厳格な運用を厚生労働省は求めてくると予想されますので、おそらく歯科診療をオンラインで受ける患者、提供する歯科医師の双方は、マイナンバーカード等の写真確認等、極めて煩雑な事務作業が要求されるのではないでしょうか。
現実的に、歯科医師の多くはオンライン診療では、痛み止めの処方位しかできないのではないでしょうか?実際に非常事態とは言え、オンラインによる歯科診療を行おうとする歯科医院は多くはないと予想します。治療に関しては、オンラインでできることは極めて限定的であるからです。
また、以前から「歯科疾患管理料」、「歯科特定疾患療養管理料」等を算定していた患者に対しては、「電話等を用いた診療及び処方、医学管理等を行う」場合、「管理料」として55 点が算定できます。
(2020 年5 月度編集)