Q.定年後の再雇用で、社会保険に関して必要な手続は?
定年を迎える従業員について、引き続き健康保険・厚生年金に加入する働き方で再雇用する予定ですが、社会保険に関して何か手続は必要でしょうか。
A.社会保険の「被保険者資格喪失届」及び「被保険者資格取得届」を同時に提出することで、再雇用された月から、再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。
定年を迎え、その後再雇用をする場合、月額給与額を変更することが多いかと思います。社会保険では、月額給与額を変更した場合、変更月から3月間の報酬をみて判断するため、変動から4ヶ月後に標準報酬月額の改定となります。つまり、再雇用時に給与月額が下がっても3ヶ月間は定年前の標準報酬月額で保険料を支払うこととなります。
しかし、「被保険者資格喪失届」及び「被保険者資格取得届」を同時に提出することで、再雇用された月から、再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に変更することができます。
この手続の対象となる要件として、退職の日から1日も空くことなく同じ会社に再雇用される必要があります。また、事業所の定年制の定めの有無による相違はなく、60歳以後に退職した後、継続して再雇用された場合であれば対象となります。
この取扱いについては、正社員に限定されるものではなく、パートタイマーやアルバイトでも厚生年金保険等の被保険者になっている方は対象となります。 手続時の添付書類として、「就業規則や退職辞令の写し等の退職したことがわかる書類及び継続して再雇用されたことがわかる雇用契約書」または「事業主の証明」が必要になります。
「事業主の証明」は、決まった様式はありませんが、退職日・再雇用日が記載されているもので、事業主印が押印されているものが必要です。 なお、法人の役員等が対象の場合の添付書類は、「役員規定、取締役会の議事録などの役員を退任したことがわかる書類及び退任後継続して嘱託社員として再雇用されたことがわかる雇用契約書」または「事業主の証明」になります。
また、喪失届に健康保険被保険者証を添付することが必要です。保険証が変わりますので、退職日以降は、旧保険証は使用しないようご注意ください。 厚生年金基金及び健康保険組合に加入している事業所の場合は、当該基金、健康保険組合にも同様の届出が必要ですのでご注意ください。
(詳細については、当該基金、健康保険組合へお問い合わせください。)
なお、定年後の再雇用時の月額給与が、定年前と同様の場合は、この手続を行う必要はありません。
(2019年01月28日)