正社員からパート社員へ変更する職員がいます。これを機に今後の同一労働同一賃金のことも考えてパート社員と正社員との差を少し埋めたいのですが、どういう考え方で基本給(時給)を設定すればいいのでしょうか。

A. それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければなりません。

まず基本給のガイドラインを確認しましょう。

■基本給「労働者の能力又は経験に応じて支払うもの」「業績又は成果に応じて支払うもの」「勤続年数に応じて支払うもの」など、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。

■昇給「労働者の勤続による能力の向上に応じて行うもの」については、同一の能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を行わなければならない。

以下の問題となる例・ならない例を参考に、待遇差があれば理由を確認しましょう。

【問題となる例】

(1)正社員Aがパート社員Bより多くの経験を有することを理由として、Aに対し、Bよりも基本給を高く支給しているが、Aのこれまでの経験は現在の業務に関連性がない。

(2)基本給の一部について、業績又は成果に応じて支給している事業所で、正社員Aが販売目標を達成した場合に行っている支給を、パート社員Bにも全く同じ目標を設定し、それを達成しない場合には支給を行っていない。(パート社員にとっては高い販売目標であるにも関わらず、達成しない場合に支給をしないのは不合理である。)

(3)基本給について労働者の勤続年数に応じて支給している事業所において、パート社員が契約更新した場合、勤続年数を通算せず直近の労働契約の期間のみで勤続年数を評価した上で支給している。

【問題とならない例】

(1)基本給について、労働者の能力又は経験に応じて支給している事業所で、ある能力の向上のための特殊なキャリアコースを設定している。正社員Aはこのキャリアコースを選択し、その能力を習得したが、パート社員Bはその能力を習得していないので、Aにはその能力に応じた基本給を支給し、BはAより低い基本給となっている。

(2)定期的に職務の内容および勤務地の変更がある正社員Aが、管理職となるためのキャリアコースの一環として、店舗等で数年間、職務の内容および配置に変更のないパート社員Bの助言を受けながらパート社員と同様の定型的な業務に従事している。正社員Aの基本給はパート社員Bよりも高く設定されている。

(3)基本給について労働者の勤続年数に応じて支給している事業所において、パート社員が契約更新した場合、当初の契約開始時から通算して勤続年数を評価した上で支給している。

基本給の決定において勘案される要素に違いがある場合は、職務内容(業務の内容と責任の程度)および人材活用の仕組みや運用(転勤や、職務の内容・配置の変更の有無や範囲)などの観点から違いを設けている理由を確認し、その違いが不合理ではないことを説明できるように整理しましょう。

今回のように正社員からパート社員へ変更になるのは、同一労働同一賃金について考えるいい機会です。まずは正社員のときの給与を時給に換算した金額と、パート社員に変更になってから支払う予定の時給とを比べてどれだけ差があるのかを確認しましょう。そして違いがうまく説明できないようであれば、今後に向けてパート社員全体の職務内容や金額を見直すことも検討しましょう。

厚生労働省は、同一労働同一賃金への対応のための取組手順書を公開しています。こちらをご参考ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000467476.pdf

(2020年1月度編集)