私たちの医療法人は、地方都市で200床未満の一般病院と、300床超の精神科病院、更に介護老人保健施設等の複数の介護施設、訪問看護、介護事業所等を運営しています。高齢化・人口減少が進む地方都市で、2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が急がれています。

精神科医療においても精神障害の方に対応した地域包括ケアシステムの重要性が指摘されるようになりましたが、その背景について教えて下さい。

(九州地方・医療法人本部・経営企画室・課長・47歳)

A.各地域で精神科病床の入院から早期退院・在宅移行が円滑に進んでいない課題を受け、中医協の資料でも「基盤整備が重要」と強調されています。

2019年7月17日に開催された中医協総会では、精神科医療における地域包括ケアシステム構築のあり方について、議論が進められました。そこで示されたのは、日本の精神科病床における入院患者の在院期間(2017年度データ)は1年以上が約17万人、うち5年以上が約9万人という状況でした。更に「精神病床からの退院患者の約4割が1年以内に再入院している」ことと、「精神障害の方の多くが必要な地域サービスを利用できていない」実態が示されました。

その中でも「精神療養病棟の入院患者が地域へ移行する上で、重要な事業・サービス」(2014年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査)として、「訪問看護」(83.4%)、「精神科デイケア」(80.3%)、「グループホーム」(79.9%)、「精神科外来」(75.4%)等のニーズが高いことが明らかになりました。

要するに、国は近年、精神科医療における改革ビジョンで、精神科病床の削減を積極的に進めてきましたが、退院後の受け皿が十分に確保されずに、各地域で精神科病床の入院から、早期退院・在宅移行が円滑に進められない状況が露呈。前述のような課題を抱える精神科病院における長期入院の是正が課題となってきました。

精神科病院退院後の地域包括ケアシステム構築に向けた基盤整備が必要であり、中医協の資料でも前出の「訪問看護」、「精神科デイケア」等の「基盤整備が重要」と強調されています。これが何を意味するのかというと、2020年度診療報酬改定では、「地域へ移行する上で重要となる事業・サービス」等を整備し、精神科病院と連携することで地域包括ケアシステムをスムーズに進められる精神科系医療機関に対して、重点評価していくという方向性が見えてくるのです。

(2019年9月度編集)