「特定行為に係る看護師の研修制度」というものがありますが、実際に同研修制度を修了した看護師を複数採用し、医師の負担軽減を実現した病院の事例等はあるのでしょうか?また、同研修制度と日本看護協会が要望する「ナース・プラクティショナー」(仮称)制度との違いを教えて下さい。

(地方都市・総合病院・事務長・54歳)

A.特定行為研修が「今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくこと」を目指しているのに対し、NPは「看護師の裁量拡大」を目的としている点で違いがあります。

特定行為研修は厚生労働省が2025年の地域包括ケアシステムの実現を念頭に、在宅医療等の推進に向けて、「個別に熟練した看護師だけでは足りずに、医師または歯科医師の判断を待つことなく、手順書により一定の診療の補助を行う看護師を養成すべく」創設したものです。

厚労省は「経口用気管チューブまたは、経鼻用気管チューブの位置の調整」、「気管カニューレの交換」、「人工呼吸器からの離脱」等、いくつかの特定行為を規定(厚生労働省ホームページを参照)し、一定の診療の補助により、医師の負担軽減を図ろうとするものです。実際に特定行為研修を修了した看護師を院内で活用し、医師の負担軽減やチーム医療の「質向上」を実現した病院の事例が、「日経ヘルスケア」2017年6月号等で報告されています。

「ナース・プラクティショナー(NP)」制度は、日本看護協会が現行の特定行為研修では「医師の指示のもとでの診療補助」の枠組みを超えないことから、看護師が現行法では認められていない新たな裁量権の拡大を求めて、国に創設を要望している制度です。

要するに、米国等で医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療を行えるNP資格を念頭に置いていると思われます。

特定行為研修が「今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくこと」を目指しているのに対し、NPは「看護師の裁量拡大」を目的としている点で違いはあります。しかし、いずれも結果として、医師の仕事のタスクシフティングや負担軽減等に資するという点では共通すると考えられます。

NPについては未だ制度化は実現していませんが、先行してNPの養成を実施している看護大学等はいくつか存在しています。

(2019年10月度編集)