Q.患者の受診抑制に繋がりそうな医療費抑制の具体的な施策とは?

政府は現在、団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費が膨張する2025年を見据えて、給付や負担の見直しを検討し、社会保障審議会や中医協等での議論を活発化していくとされています。要するに、医療費削減が今後、様々なベクトルで進められるようですが、現在、政府が議論している中で、受診抑制に繋がる可能性があり、かつ早い時期に導入されそうな施策について教えて下さい。

(近畿圏地方都市・一般内科診療所・院長・58歳)

A.薬剤を公的医療保険の対象外にする施策や高齢者の自己負担の増額等が検討されています。

特に優先して実行されそうな施策としては、同効果の市販薬で代替可能な軽症者向けの湿布やビタミン剤、皮膚保温剤等の一部を公的医療保険の対象外にする(あるいは自己負担を引き上げる)議論が進められています。 健保組合連合会の試算では、代替可能な薬剤費は年間2,126億円とされており、それも、どこまでの薬剤を保険対象外にするかの“線引き”によって抑制額は変わってきます。その各論に係る議論が厚生労働省の審議会等で煮詰められていますが、その内容によっては患者が受診を控え、重症化する恐れがあることも指摘されています。 この他には、「75歳以上の窓口負担を1割から2割に引き上げ」、「受診時定額負担の導入」、「高齢者の所得に応じた負担への見直し」等が、喫緊に推し進められることになりそうです。これらは全て国民、特に高齢者の不評を買いそうな政策です。各施策実現の時期について政府与党は、次回衆議院選挙の時期を睨みながら、検討していくのではないでしょうか。

(2019年10度編集)

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