私たちの医療法人は19ベッドを有する有床診療所を核に、高齢化・人口減少が進む地方都市で、幅広く介護・福祉事業を展開し、地域に貢献してきたとの自負を持っております。

さて、当法人では従来から訪問看護ステーション(以下、訪問看護ST)を2カ所、運営しておりますが、国が訪問看護STの大規模化・集約化を進める方針を考慮して、2つの訪問看護STを統合して、今後、「機能強化型」訪問看護STにすることを検討しています。ただ、現状の看護師のマンパワーでは常勤看護師4名以上の「機能強化型訪問看護管理療養費3」届出がやっとの状況です。しかし、同療養費3から徐々にマンパワーを充実させて、将来的には同療養費1を目指していくつもりです。

同療養3を届出するには、「医療機関の看護職員の訪問看護STでの勤務実績」が要件となっています。他の医療機関の看護師が当該訪問看護STで訪問看護を行う場合に、どのような雇用形態となるのでしょうか?

(山陰地方・有床診療所(19床)・院長・医療法人理事長・70歳)

A.「訪問看護出向事業ガイドライン」(厚生労働省)では、出向形態は大きく分けて①在籍型出向②移籍型出向(転籍)-の2つとなっています。

①は「出向元事業主及び出向先事業主双方との間に雇用契約関係がある」もの。労働者保護関係法規等における雇用主としての責任は、「出向元、出向先及び出向労働者三者間の取り決めによって定められた権限と責任に応じて、出向元または出向先が負う」のが原則です。

②は「出向元事業主との間の雇用契約関係は終了し、出向先事業主との間のみに雇用契約関係がある」もの。労働者保護関係法規等における雇用主としての責任は、「出向先のみ」となります。このケースの場合、貴法人だけが責任を負うことになります。

出向訪問看護師を受け入れる際には、出向契約として「給与の支払い等の責任」、「労働時間・休憩・休日・年次有給休暇に関する責任」、「安全衛生管理に関する責任」等を、きちんとしておかなければ、労務トラブルが起こるリスクがあり、実際にいくつかの訪問看護STではトラブルを抱えたケースもあります。

厚生労働省は「病院と訪問看護STとのマッチング」、「出向条件の調整の支援」「出向期間中の状況確認、情報共有」等を担うコーデュネーターを介在させたいようです。弊害として、②のパターンは看護師の引き抜きを助長させるのではないかと危惧する看護関係者がいるのも事実です。

(2020年1月度編集)