医師業務の看護師へのタスク・シフティング(業務の移管)を進めるために、看護師の「特定行為研修」制度に強い関心を持っています。

ただ、当院の場合は小規模であり看護師の人員面で余裕がないこと、さらに慢性期医療を主体とする病院でもあることから、看護職員に「特定行為研修」を受講させることに対して“二の足”を踏んでいました。ところが、2020年4月より現職の看護師でも「特定行為研修」が受けやすくなるとの制度改正が実施されると聞きました。その改正が目指すところを教えて下さい。

(関西・医療法人病院(120床)・副看護師長・教育担当・58歳)

A.ご承知のように「特定行為研修」は「医師の診療の補助」を前提に、規定された手順書に基づく38行為の「特定行為」を可能とするものです。

国は従来、医師にしかできなかった38行為に対して、「特定行為研修」を修了した看護師へタスク・シフティングを進める考えを持っており、おそらく診療報酬制度等とリンクさせ、将来の医師不足に対応する構えです。つまり、医師の“働き方改革”を進めるための「一里塚」として捉えているわけです。

国は2025年までに約10万人以上の「特定行為研修」修了看護師を輩出することを目指していましたが、2018年3月段階で日本全国で約1,000人強の養成に留まっていました。これでは目標数値に到達するまで何年かかるか分かりません。そこで、厚生労働省は①在宅・慢性期領域②外科術後病棟管理領域③術中麻酔管理領域-の3領域に対して、実施頻度の高い「特定行為」をパッケージ化し、研修内容を簡素化、研修時間も削減して多忙な看護師にも受けやすくするような改正を実施することとしたのです。

研修の総時間数で言うと、前述①~③については改正前の315時間から、改正後は250時間に削減されることになります。

厚生労働省の「看護師特定行為・研修部会」では、「在宅、慢性期の場面での特定行為研修のハードルを、もう少し低くすべき」、「特定行為区分の中に、慢性期医療としてまとめたようなものがあると良い」、「共通科目については、スリム化できる可能性もある」、「現状の特定行為研修制度は、個別の行為ごとに研修を行う仕組みで、手術前後の病棟管理業務や術前・術中・術後管理等、一連の業務等を担うには不十分」等の課題が示されており、これらの問題に対応したものと思われます。

また、前出①~③の3領域は主に軽度急性期・慢性期・回復期等を担う中小民間病院等に影響がある分野でもあり、高度急性期病院だけでなく、中小民間病院の看護師にも「特定行為研修」修了者を増やしていきたいとの意図が伺えます。

(2020年1月度編集)