私は勤務医時代に一般社団法人日本糖尿病学会の専門医研修を受け、糖尿病専門医の資格を取得。5年前に糖尿病外来の責任者として勤務していた民間病院を辞めて、独立開業しました。これまで事務長を務める私の妻の他に、糖尿病療養指導士の資格を有する看護師1名とパート事務職1名体制で、小じんまりとしたビルの1室でクリニックを開業してきました。ただ地域に糖尿病専門診療所が皆無であることから、定期受診の患者が急増。手狭になったことから、地元ショッピングセンターの占有面積の広いワンフロアに移転することを決断しました。

一方で、業容拡大を目指しており、私が病院勤務時代に糖尿病外来で同僚だった40歳代の管理栄養士(女性)が常勤職員として参加、更に毎週、月・水・金曜日は大学後輩の総合診療医が、午前診の外来に入ってくれることとなり、午前診は週3日間に限り、2診体制を組める手筈を整えました。

十分な医療スタッフが揃い、専門クリニックとしての存在感を発揮するために、これまで実施出来なかった糖尿病予防の勉強会や教室、食事指導や料理教室等、生活習慣病である糖尿病の予防に向けた啓発活動にも力を注ぎたいと考えています。現在は手探り状態なので、今後どのような運営をすれば良いのか、アイデアがあれば教えて下さい。

(九州地方 糖尿病専門クリニック 院長 糖尿病専門医・47歳)

A.医療機関としてはあくまでも裏方に徹して、運営は患者ボランティアが主体となり、そのサポートをするスタンスが有効です。

糖尿病診療所各々で独自の取り組みを行っている施設が多いかと思います。糖尿病患者の参加するイベント開催については、定期受診する糖尿病患者から有志を募り「友の会」を発足し、意欲的な方々がいらっしゃれば、どなたかに会長等の役員をお願いし、「友の会」主導でこれらの活動を行っていくのがベストです医療機関としては、あくまでも裏方に徹して、運営は患者ボランティアが主体となり、そのサポートをするスタンスです。

イベントは毎月1回位の頻度で、合併症予防等をテーマにしたセミナーや、管理栄養士さんを講師とする糖尿病食を美味しく食べる料理教室、ヘルシーダイエット教室等を開催する。実際に活動が軌道に乗れば、「友の会」主催で年に1、2回、温泉旅行等の親睦旅行を企画し、先生や医療スタッフも参加し、楽しめる機会を作るのも良いでしょう。糖尿病専門クリニックの中には、このようなイベントを定期的に開催し、当該患者だけでなく家族ぐるみで参加を楽しみにされているケースもあります。糖尿病ケアに力を注ぐ医療機関のドクターや医療スタッフは、患者には大変、近しい存在として認識されているのです。

講演会や健康教室の開催は貴院の広いスペースを利用します。参加者が毎回20名前後であれば、外来待合室等のレイアウトを変更し、出来得る限り院内で開催するのが理想です。「友の会」が円滑に運営できるようになれば、会報誌等を編集・発行し、積極的な情報提供活動で、糖尿病の治療や予防についての啓発を促す等の活動も期待できます。常勤の管理栄養士さんが参加されることで、貴院では毎日、栄養指導が可能になるかと思います。同時に食事のメニューやレシピ等を会報誌に掲載し、セルフメディケーションに役立てて頂くことも糖尿病予防の意識づけには効果的です。

「友の会」運営については、会費の問題や、会員の集め方等クリアすべき課題もあり時間もかかるでしょう。まずはユニークなイベントを企画・開催し、そこに集まって来て下さった患者さんや地域住民に、組織化を呼びかけてみられては如何でしょうか?糖尿病クリニックの経営は今後、長い付き合いの続く糖尿病患者さんとの関係性をいかに構築し、強化するのかが成功のカギを握ると考えます。

(2020年9月度編集)