オンライン診療料・オンライン医学管理料の新設
いわゆる「遠隔診療」については、リアルタイムでのオンラインで診療を行うことと、従来の遠隔地への情報機器を介した診療とは、名称が混乱することを避け、正式に「オンライン診療」と名称が変更されています。
対面診療の原則の上で、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、診療報酬上の評価として「オンライン診療料(70点)」と「オンライン医学管理料(100点)」「在宅時医学総合管理料 オンライン在宅管理料(100点)」「精神科在宅患者支援管理料 精神科オンライン在宅管理料(100点)」が新設されました。
オンライン診療は厳しい制限付きでの評価
今回は初めてのオンライン診療に関する評価ということもあり、「初診から6か月を経過した医学管理(特定疾患療養管理料など)を実施している再診患者」と、かなり利用シーンが限定されたものとなりました。また、施設基準についても、
(1)厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針等に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること。
(3)当該保険医療機関において、一月あたりの再診料等(電話等による再診は除く)及びオンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下であること。
とされています。
オンラインの診療では予約料は患者さんに請求できない
それに合わせて、オンライン診療料新設前に、利用されてきた「電話等再診(72点)」については、「定期的な医学管理を前提として行われる場合は算定できない」と付則が追加され、オンライン診療料との棲み分けが明確化されています。
さらに、オンラインでの診療では、予約に基づく診察による特別の料金の徴収、いわゆる「予約料」は算定できないとされました。その代わりとして、診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できるとされ、「システム利用料」を患者さんに請求することが可能となっています。
在宅患者持続陽圧呼吸療法、在宅酸素療法指導管理料の遠隔モニタリング加算の新設
ICTを活用した遠隔カンファレンスの推進
地域での医療連携や医療と介護の連携を推進するため、多職種間の効率的な情報共有・連携を促進する観点から、「感染防止対策加算」や「退院時共同指導料」等について、連携会議(カンファレンス)や情報共有等にICTを活用することができるよう要件が緩和されました。
従来、対面でのカンファレンスの参加を求めている評価について、各項目で求めている内容や地理的条件等を考慮し、一定の条件の下でICTを用いたカンファレンス等を組み合わせて開催できるように要件が見直されています。この要件緩和により、日々忙しい医師が患者宅や病院などに出向いてカンファレンスに参加しなくても、TV会議システムでの参加が可能となるため、移動時間の削減になり業務効率が向上されることでしょう。
医療ICT分野の拡大に向けた準備が必要との認識が大切
ICT化(情報通信機器の活用)は、移動にかかる「距離」並びに「時間」の短縮に効果があることは明確です。医療機関がICTの活用を進めることで、効率的な医療サービスの提供が行え、医療費の適正配分につながると政府は考え、ICT化の評価が行われています。
しかしながら、今回のオンライン診療をはじめとするICT化に関する評価は、始まったばかりということもあり、慎重な対応となりました。が、点数や算定の仕組みについて一喜一憂するのではなく、今後の医療ICT分野の拡大に向けた準備が必要との認識が大切です。どのような形であれ、政府はオンラインでの診療を認めました。これで外来、在宅、そしてオンラインというあたらしい診療スタイルが進むのです。
ネットショッピングが一気に一般化したように、ネットメディカルケアという考えも普及することが予測されます。
(2018年08月02日)
