医療の現場ではパソコンが追い付かない

医療の現場では、他の業界に比べて、パソコンが苦手なスタッフが多いようです。その理由は、1人1台パソコンがない環境で長らく仕事をしてきたことが、まず第一に挙げられます。2つ目は、日々の忙しい業務の中でパソコンを悠長に触るようなことが難しかったのです。

それはつまり、医療業界では従来のパソコンのスピードでは到底追いつかないような迅速な意思決定、業務提供が必要なためです。付け加えるならば、医療現場の業務フローを十分に理解しないままシステム設計が行われており、そのため、細部で様々な不具合が起きているように感じます。医療の現場とシステムエンジニアの間のコミュニケーションが十分でなかったように感じます。

電子カルテの普及で、紙からパソコンへのシフトは避けては通れない

パソコンは「速さ」では紙には勝てません。また、何かをしながら書くのも紙が有利です。この2つの利点から紙カルテを長らく愛してきたのが医療の現場なのです。さて、とは言っても、電子カルテの普及が大規模病院で9割を超え、診療所においても4割に達している現在では、紙からパソコンへのシフトは避けては通れません。今後、多くの医師も看護師も電子カルテでしかカルテ・看護記録を書いたことがない方が大半になるのは明確です。そうなると、医療従事者はパソコンが苦手なだけで職を失う時代に来ていると考えられます。

パソコンが苦手はキーボード入力が苦手

病院や診療所のスタッフに話を聞くと、「パソコンが苦手」と訴えます。この本質はパソコンが苦手なのではなく、キーボード入力が苦手という意味です。電子カルテが医療現場になじまないインタフェースを取り続ける限り、この傾向は続くことでしょう。例えば、看護師がベッドサイドでノートパソコンをカートに載せて入力している姿を最近よく見かけますが、狭い病室ではカートの行き来が窮屈で、無理な体勢で、キーボードと格闘しながら入力をしています。明らかにパソコンが向かない現場なのです。

端末が変われば、リテラシー問題も解決

2010年に医療現場でピッタリな端末が発売開始されました。みなさんご存知のiPadです。それ以来、このタブレットと呼ばれる端末はAppleだけでなく、様々なパソコンメーカーがこぞって発売しています。

これらの端末は、入力を省スペースそして指をインタフェースにしていますので、医療の現場では非常に向いていると言えます。バイタル程度であればパソコンが苦手でも利用ができます。ここが重要なのです。ITリテラシーが高くなくても使える端末とは、(1)キーボードレス、マウスレス(2)マニュアルレス(3)究極の直感性‐この3つが伴っていれば、誰でも使用できるのです。テレビや洗濯機は誰でも使えます(最近は機能が増えすぎていますが・・・)。これらの家電のような考え方が医療の現場で求められているのです。

将来的にはキーボードとマウスは必要なくなるが

では、パソコンが苦手なスタッフにどのように教育を行っていくかという問題は、これまで話してきたように、端末を変えるだけで解決してしまうのです。システムを構築する際に、「本当にその業務にキーボードやマウスが必要ですか」この質問を常に考えて欲しいのです。

ただ、まったくキーボードとマウスが必要なくなるのは少し先の社会です。いまのところ、どの電子カルテもキーボードとマウスをインタフェースとして採用しています。つまり、しばらくの間はパソコンのマスターは必要となるのです。


(2018年08月22日)