医療IT最前線 第74回 働き方改革に合わせたクラークの採用(前編)

最近、「電子カルテのクラーク運用を始めたい」と相談されるクリニックが増えてきました。

クラーク(医師事務作業補助者)の配置については、病院では診療報酬で評価されており、現時点で2,700件の病院が算定しています。 この数は、全病院の3分の1に上ります。しかし、診療所に配置しても算定はできませんので、クラーク配置はよほどのことがなければ、考えないのではないでしょうか。

診療所では配置が進んでいないにもかかわらず、なぜ、昨今診療所でもクラーク運用を始める機運が高まっているのでしょうか。

働き方改革がクラーク運用を後押し

それは、政府が進める「働き方改革」にあるように感じます。

政府は、まずは労働環境の整備を行うため、「残業短縮」「有給消化」「インターバル(休憩)の確保」などを中小企業にも求める法律を施行しています。これらがすべて施行されるのは、もう少し先ですが、いまから取り組まないと間に合いません。 新しく施行される条件に職場を準拠させるためには、どうしても環境を変化せざるを得ません。

そこで、生産性向上やスピードアップに効果がある、クラーク運用を検討されているのではないかと考えます。

既存スタッフと新規スタッフのどちらが良いのか?

クラーク運用の相談の際に必ず聞かれるのが、「クラークは新たに採用した方が良いのですか」という質問です。

クラーク運用を始めるためには、 (1)既存のスタッフをクラークに転換する (2)新規にクラークとしてスタッフを採用する という2つの方法が考えられます。これのどちらが正解というわけではありません。わたしはどちらのパターンでも「トレーニングすれば可能です」とお答えしています。ただし、既存スタッフと新規スタッフではトレーニング方法が異なりますので、注意が必要です。

既存のスタッフのトレーニング方法

既存のスタッフをクラークに転換する場合は、これまでレセコンを使ってきましたから、処方や検査、処置などのオーダーを入力することは慣れています。 そこで、「経過欄(カルテの左側)」を中心にトレーニングを行うことになります。カルテに何を書くのか、監査に強いカルテはどう作れば良いかを教えます。

その際に、SOAPの構造を説明することで、カルテの書き方を理解できるようになります。

(2019年8月21日)

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