医療IT最前線 第77回 クリニックにおける受付業務の自動化

最近、受付に人を見かけなくなった

日常生活の中で、ここ最近めっきり人がいなくなった部門があります。それは「受付」です。

たとえば、駅の自動券売機や銀行のATM、そしてラーメン屋の食券機と、どんどん受付はヒトからコンピュータに変わってきています。 レジスターの進化も著しく、「レジ打ち」という仕事はほぼなくなりました。 商品の代金をお預かりし、それをレジに投入すれば自動で釣銭が出てくるようになったのです。

今ではコンビニエンスストアでは、多くの外国人留学生が働いています。もうレジの釣銭を合わせるという仕事そのものがなくなっており、レジ業務が難しい業務ではなくなったのです。

医療の世界でも受付がどんどん少なくなる

医療の世界でも、電子カルテの導入に合わせて、再来受付機や自動精算機が入るようになりました。当初は価格が高額であったことから、大規模病院から順番に設置が始まりました。 いまでは、価格が大幅に安くなったことで、病院だけではなく、クリニックにも置かれる時代となりました。

かつて、「電子カルテを導入すると受付のスタッフは減りますか?」という質問をよく受けました。「業務は減りますが、人数自体は減りません」と答えていたのですが、いまでは「電子カルテと精算機を導入されれば確実に、人数が減ります」と答えています。

人手不足と電子カルテによる標準化がシステム化を進める

これまで、受付のスタッフを減らすと、受付も会計もレセプト請求もできなくなると思われていました。医師や看護師が代わりにするのは難しく、そこには高いハードルがあると考えられていたのです。 特にレセコン操作などは熟練の技が必要で、職人が行うような業務と考え、医師はとうていできない業務と思われてきました。

しかし、ひとたび電子カルテが導入されると、その業務は医師に一気に移管されるようになりました。電子カルテが増えてくると、医療機関が初めてのスタッフでも受付業務ができるようになっていたのです。 今後予定されているレセプトチェックシステムの公開で、受付業務は熟練の技が必要ない、誰にでもできる時代を迎えます。

時を同じくして、政府もレセプト業務の単純化・効率化を考えており、将来的には医療機関へ、支払基金などが使用している「レセプトチェックシステム」の公開を計画しています。ますます受付スタッフの熟練の技は必要としない時代がやって来ようとしています。

ブラックボックスが透明化され標準化すると自動化が進む

様々な業務の標準化が進むことは、ICT技術によってコンピュータに置き換えることを可能とします。コンピュータに置き換えることが難しい業務のほとんどは、業務自体が複雑であるか、意思決定をする経営者が分からないブラックボックスになっている業務でした。

しかしながら、それらのハードルは制度の単純化と業務の標準化が進むことで、コンピュータに置き換えることが可能になるのです。 今後、ますます医療の受付は自動化が進みコンピュータに置き換わることが予想されます。

(2019年9月26日)

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