多職種間の情報共有が最重要

在宅医療では、自宅や介護施設にいながら療養している患者さんをサポートすることになり、入院医療で提供している定期的な診察や検査、看護、介護、リハビリテーションなどを出張して行うことになります。
在宅で患者さんをサポートするためには、医師、看護師、薬剤師、リハビリ、ヘルパー、ケアマネージャーなど様々な職種が関わるようになり、多職種間の連携が大切になります。
また、これらの多職種は所属する組織が異なる場合が多く、毎回、患者さんごとに様々な組み合わせで行うことになります。患者さんの状態を常に把握していくためには、多職種間の情報共有が最も重要となることは言うまでもありません。

情報共有は様々な仕組みが混在

現在はこの多職種間の情報共有は、電話やFAX、メール、多職種間連携システムなど様々な仕組みを利用して行っています。先に患者さんごとに組合せが変わると申しましたが、情報共有の仕組みも組合せごとに変わります。
関係者は様々な仕組みを常に見て(聞いて)対応しなければならないのです。これはとても大変なことです。できればすべてが同じ仕組みで情報共有が図れれば、だいぶ負担は軽減されます。そこで、地域ごとに多職種間連携システムを共同利用する試みが進んでいるのです。
しかしながら、このシステムに全関係者が入ってくれればよいのですが、様々な理由で全員参加とならないことが現状です。

多職種間連携システムの普及・浸透の難しさ

なぜ、多職種間連携システムの関係者全員の参加は難しいのでしょうか。わたしは大きく分けてお金(システムコスト)の問題とスキル(ICTリテラシー)の問題があると考えます。
多職種間連携システムは無料ではありません。システム構築に費用がかかり、日々の運営にもお金がかかります。また、アクセスするためには端末も用意しなくてはなりません。全員に使ってもらうためには、定期的に説明会や勉強会を開く必要もあります。これらにかかる費用を誰かが負担し続ける必要があるのです。

医療介護のコミュニケーションの在り方を見直す必要がある

一方で、お金以上に問題なのは、システム化は使用する方々のITスキルに依存するという問題です。情報共有をパソコンやタブレット、スマホで行うためには、それらを使いこなすための教育が必要になるのです。
パソコンに苦手意識のある方は、情報を入力することに抵抗を感じますし、定期的に情報にアクセスすることもしないでしょう。それを解消するためには、パソコン研修のようなリテラシーを向上させる研修を定期的に実施し、底上げを図るか、システムを誰でも使えるように改良するしかありません。
また、医療と介護の情報共有は、特に法人を超えて情報連携をする場合は、かなり気を遣った、回りくどい文章になりがちです。紹介状などの文面を見れば明らかでしょう。医療以外の世界では、LINEやFacebookが一般的になり、メールよりもはるかに気軽なコミュニケーションツールが普及・定着している時代に変わってきているにもかかわらず、伝統的な情報共有形式にこだわっていては、せっかくのICT技術が利用しにくくなってしまうのではないでしょうか。
いまこそ、医療介護分野のコミュニケーションの在り方を見直す時期に来ているのではないかと考えます。

大西 大輔