クラウドとは?

医療の世界でも「クラウド」という言葉を、最近よく聞くようになりました。クラウドとは、正式にはクラウドコンピューティング(Cloud Computing)と言います。

クラウドは日本語に訳すと雲です。具体的には、インターネットの先に事業者が運営するサーバ群があり、そのサーバ群を雲と見立てて表現した言葉です。

ちなみに、事業者が管理するサーバ群をクラウドと呼び、ユーザー側が管理するサーバをオンプレミス(on-premises)などと呼んだりします。

クラウドのことをかつては「ASP」と呼んでいる時代もありました。ASPとは、「Application Service Provider」の略で、業務用アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客に提供する事業者、ないしはサービスのことです。

そして、次に「Saas」と呼ばれるようになりました。Saasとは、「Software as a Service」の略で、ソフトウェアを利用者側に導入するのではなく、事業者側で稼働しているソフトウェアを、ネットワーク経由で利用者がサービスとして利用する仕組みを指しています。

「ASP」と「Saas」は大きく意味合いは異なりません。時代とともに言葉が変化していくことは、IT業界ではよくあることです。

簡単に言えば、クラウドはサーバの置き場所を利用者側(医療機関)から事業者側にシフトさせ、その結果サーバの管理を医療機関が行わなくてもよくなるサービスです。

サブスクリプションモデル

クラウドサービスと対になって、最近よく耳にする言葉は「サブスクリプションモデル」です。サブスクリプションモデルとは、利用者がシステムを買い取るのではなく、システムやサービスの「利用する権利」を一定期間契約するというビジネスモデルです。最近では、定額制サービスを指すことが多いように感じます。

医療において電子カルテなど医療情報システムの購入は、従来からリース契約が多かったために、それと何が異なるのだろうと感じる人が多いでしょう。大きな違いは直接契約か間接契約かの違いです。

サブスクリプションモデルは、システムを提供する事業者と月額いくらという形で契約を結びますが、リースの場合は、リース会社がいったんシステムを事業者から買い取り、期間を決めて、リース会社が医療機関と契約することになります。

この「期間を決めて」というところが2つ目の違いです。サブスクリプションモデルは継続的な契約を結び続けるため、買い替えという発想がありません。一方、リースは5年間や6年間と契約期間が存在します。リースが切れたら買い替えるというのが一般的でした。

所有価値から使用価値へ

サブスクリプションモデルは、事業者にとっては「継続的かつ安定的に収益が見込める」というメリットがあります。売上の凸凹がなだらかになります。

一方、利用者にとっては買い替えがなくなりますので、「その都度購入するより便利」というメリットがあります。利用続ければ続けるほど得になるように料金設定がされています。

わが国は社会が熟成し、モノがあふれています。一方で、バブル時のように景気が一気に拡大することも考えにくい時代となりました。それに伴い、モノやサービスを消費する社会から安定的にモノやサービスを使用する社会に変わろうとしているのでしょう。

「所有価値」から「使用価値」へと生活者の意識の変化が生まれ、それを事業者も感じ取り形態が変化してきているのだと思います。このようなことが進めば、「物欲」という言葉が死語になるかもしれませんね。

大西 大輔