Q.働き方改革について教えてください。
A.4月6日、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案が国会へ提出されました。
現在の日本は、生産年齢人口(15~64歳)が総人口を上回るペースで減少しています。労働力の主力となる生産年齢人口が想定以上のペースで減少しているわけです。 さらに日本は、日本の労働生産性(労働者1人あたりが生み出す成果)は、OECD加盟国の全35カ国の中で20位となっています。主要7カ国の中で最下位です(公益財団法人 日本生産性本部 労働生産性の国際比較 2017年版より)。 労働力人口が減少しても、国全体の生産を維持するためには労働生産性の向上が不可欠です。
そこで、
・働き手を増やす
・出生率の上昇 ・労働生産性の向上
「働き方改革」の具体的課題として、次のものが挙げられます。
・長時間労働 ・非正規と正社員の格差
・労働人口不足(高齢者の就労促進)
I.働き方改革の総合的かつ継続的な推進
II.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
III.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
1.労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全衛生法)
月45時間、年360時間
年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
(B)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。※
(C)一定日数の年次有給休暇の確実な取得
使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならない。
(D)労働時間の状況の把握の実効性確保
労働者の健康確保措置の実効性を確保する観点から、労働時間の状況を省令で定める方法により把握しなければならない。(労働安全衛生法の改正)
(2)多様で柔軟な働き方の実現
(A)フレックスタイム制の見直し
(B)特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、年間104日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
2.勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。
3.産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
・事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。
施行期日は平成31年4月1日とされています。ただし、中小企業における時間外労働の上限規制に係る改正規定の適用は平成32年4月1日、また、※1.(1)②の中小企業における割増賃金率の見直しは平成35年4月1日です。 今後、国会において詳細が審議されることとなります。