Q.同一労働同一賃金を見据え、手当の内容や支給対象者の変更を検討しています。
当社では正社員には色々な手当を支給していますが、契約社員やパート・アルバイトには時間外手当や通勤手当以外は支給していません。今後に備えて変更を検討していますが、考え方を教えてください。
A.同一の内容には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならないものと、同一の支給を行わなければならないものと、2種類あります。
各種手当のガイドラインを確認しましょう。
■同一の内容には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならないもの・役職手当(役職の内容に対して支給するもの)■同一の支給を行わなければならないもの・通勤手当・出張旅費・時間外労働手当の割増率・深夜・休日労働手当の割増率・精皆勤手当(業務の内容が同一の場合)・食事手当(労働時間の途中に食事のための休憩時間がある際に支給するもの)・単身赴任手当(同一の支給要件を満たす場合)・地域手当(特定の地域で働く労働者に対する補償として支給するもの)・特殊作業手当(業務の危険度又は作業環境に応じて支給されるもの)・特殊勤務手当(交替制勤務などに応じて支給されるもの)
※家族手当・住宅手当等はガイドラインには示されていませんが、均衡・均等待遇の対象となっており、各事業所の労使で個別具体の事情に応じて議論していくことが望ましいとされています。 以下の問題となる例・ならない例を参考に、待遇差があれば理由を確認しましょう。
【問題となる例】
(1)正社員Aと契約社員Bは同一の役職名で同一の内容の役職に就いているが、Aに比べてBの役職手当を低く支給している。
(2)正社員には契約社員に比べて、食事手当を高く支給している。
(3)正社員と契約社員は全国一律の基本給の体系を適用しており、いずれも転勤があるが、契約社員には地域手当を支給していない。
【問題とならない例】
(1)正社員には考課上、欠勤するとマイナス査定を行い、かつ、そのことを待遇に反映する一方、一定の日数以上出勤した場合には精勤手当を支給している。契約社員には欠勤についてマイナス査定を行っていないので、そのこととの見合いの範囲内で、精勤手当を支給していない。
(2)正社員Aは、入社に当たり交替制勤務に従事することは確定しておらず、業務の繁閑等に応じて通常勤務又は交替制勤務のいずれにも従事する可能性があり、交替制勤務に従事した場合に限り特殊勤務手当が支給される。パート社員Bについては、採用に当たり、交替制勤務に従事することを明確にし、かつ基本給に、正社員に支給される特殊勤務手当と同一の交替制勤務の負荷分を盛り込み、通常勤務に従事するパート社員Cより基本給を高く支給している。Aには特殊勤務手当を支給しているが、Bには支給していない。
(3)所定労働日数が多い(例えば週4日以上)正社員・契約社員・パート社員には月額の定期券の金額を支給しているが、所定労働日数が少ない(例えば週3日以下)または出勤日数が変動する契約社員・パート社員には、日額の交通費を支給している。
待遇に違いがあった場合、その違いが「不合理ではない」ことを説明できるように整理しておきましょう。また「不合理ではない」とは言いがたい違いがある場合は、法施行までの間に計画的に改善に向けた取組を始めましょう。
施行日は2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日適用)です。手当だけでなく基本給や賞与、福利厚生・教育訓練についても同時進行で取り組んでいきましょう。
厚生労働省は、同一労働同一賃金への対応のための取組手順書を公開しています。
こちらをご参考ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000467476.pdf
(2019年11月度編集)