2010年に医療分野でクラウド解禁

医療の世界では、2010年に厚労省が出した「電子カルテの外部保存に関する通知の一部改正」の通知により、これまで医療機関あるいは医療機関に準ずる場所(医師会や自治体)に設置することとされてきたサーバを、一定の基準を満たした企業のサーバセンターに設置することが認められました。これがいわゆる「医療分野のクラウド解禁」です。

これまで医療分野のシステムは、医療機関内にサーバを保有する「オンプレミス型」が主流で、医療情報のようなセキュリティレベルの高い情報は、インターネット上で扱うことが難しいと考えられてきました。

しかしながら、クラウド解禁から約9年が経過し、近年ではセキュリティ技術の向上やガイドラインの整備に伴い、医療業界でもクラウドサービスを安全に活用することができるようになってきました。

オンライン資格認定、電子カルテの普及に300億円を予算化

一方、超高齢社会、人口減少社会を迎える我が国において、政府は効率的に医療サービスを提供するため「地域包括ケアシステム」の完成を2025年に定め、ICT普及に関する様々な施策が実施されています。

2016年には診療状況提供書等の書類について、ネットワーク上で送受信することが認められるとともに、検査や画像のネットワーク上でのやり取りが診療報酬で評価されました。

また、2019年の厚生労働省予算でオンライン資格認定や電子カルテ等の普及のために「医療情報化支援基金」が設立され、300億円の予算が計上されました。医療情報化支援基金について2019年度の詳細はまだ公開されていないようですが、2020年度の予算請求にも医療情報化支援基金(300億円)が含まれています。

予算300億円の内訳については、①オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備の支援、②電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援、と2つの施策が明記されています。特に電子カルテについては「標準規格を用いて相互に連携可能な電子カルテ等を導入する医療機関での初期導入経費」と定義されていますので、SS-MIXなどに対応した電子カルテシステムが対象になると予想されます。

この予算にもあるように政府は地域包括ケアシステムの構築のベースとして電子カルテの普及を後押ししていることが分かります。

大西 大輔