Q.「かかりつけ医」に係る診療報酬で、見直しが予想される項目はあるのでしょうか?
中医協では10月末から、診療所の「かかりつけ医」機能に係る議論が始まったばかりです。当クリニックでは「地域包括診療加算」を算定しており、地域のかかりつけ医としての役割を、更に強化していく所存です。
ところで、2020年度診療報酬改定では、「かかりつけ医」に係る診療報酬で、見直しが予想される項目はあるのでしょ
うか?現段階の予想可能な範囲内で教えて頂ければ幸いです。
(近畿地方・一般内科クリニック(無床)・院長・50歳)
A.急増した「機能強化加算」、2020年度診療報酬改定ではハードルを上げて届出医療機関を“絞り込み”?
中医協における「かかりつけ医」機能に係る議論では、2018年度診療報酬改定で新設された「機能強化加算」(以下、同加算)に対して、かなり多くの言及がなされていることが気がかりです。同加算は「診療所または200床未満病院」が対象となり、かかりつけ医機能が評価される「地域包括診療料・同加算」、「小児かかりつけ診療料」、在宅療養支援病院・同診療所に限定される「在宅時医学総合管理料」、「施設入院時等医学総合管理料」の届出が条件。地域における「かかりつけ医」機能としての対応を行っている医療機関であることを、「当該医療機関の見やすい場所に提示している」ことが求められます。初診時に所定の点数に80点加算されますが、正直、きちんと「かかりつけ医」の役割を果たしていれば、算定しやすい加算であると思われます。
2018年7月1日時点で、病院1,048施設、診療所11,793施設が届出しており、同年6月分の算定回数は178万3,064回にも及んでいます。
医療費抑制に余念がない厚生労働省は、算定医療機関・算定回数を、これ以上増やさないように、2020年度診療報酬改定では同加算算定に“歯止め”をかけようとするのではないでしょうか。そのためには、算定要件を厳しくするか、点数を下げるかのいずれかの対応になりますが、“鳴り物入り”で創設した新設加算の点数をすぐに引き下げることは考え難く、慢性疾患患者に制限する等、施設基準に新たな要件を追加することは十分に推測されます。
中医協のデータでは、同加算を算定した経験のある患者が、同加算により費用が増えることから「院内に費用についての掲示がしてあれば良い」との声が圧倒的に多いことから、費用提示等も施設基準に追加される可能性はあるでしょう。同省の調査では、患者側の「かかりつけ医を決めている」との回答は、同加算届出医療機関が74.4%、届出なし医療機関が66.9%と大差なく、同加算が「かかりつけ医」機能の推進に必ずしも直結しているわけではないことも分かっています。同加算の算定要件や施設基準、対象患者等が大きく見直される可能性も考えられるでしょう。
(2020年1月度編集)