Q.大阪府が唐突に打ち出した「コロナ重症センター」の役割は?
7月に入り、大阪府では新型コロナ蔓延の第2波到来に備えて、想定外の感染拡大に対応する「コロナ重症センター」を開設するという、吉村府知事の記者会見をテレビのニュースで見ました。
大阪府では既に重症患者用の病床を215床確保する計画を進めています。更に府では新型コロナ専門病院として十三市民病院と、阪和第二病院が稼働し始めています。それらとの“すみ分け”がよく分かりません。今回の「コロナ重症センター」は重症患者用病床・215床を確保するとの一連の動きとして捉えるべきでしょうか?
病院経営的にはコロナ専門病院を造り専用病床を数多く、整備したとしても収束すれば稼働率の低下するのは当然で、ぎりぎりの環境で救急医療を担う私たちとしては、府のやり方が非効率にも見えてしまいます。
(大阪府 医療法人病院 事務次長・49歳)
A.今回の「コロナ重症センター」は、大阪府が進めてきた当該215床を確保する計画とは別枠の臨時的施設として計画されているものです。
第2波の到来で医療崩壊が不安視される2021年1月までに60床程の病床を確保。全病床に人工呼吸器を配備したプレハブの臨時施設を開設するとの計画ですが、場所等はまだ決まっておらず、医療現場への根回しが十分になされていない中での唐突な決定であるのは容易に想像がつきます。
同知事は「最後の砦」となるICUを新たに215床整備するプランを進めながら、あくまでも想定外の感染爆発が起こった時に備えた施設として、「コロナ重症センター」を位置づけているようです。ただ、2年間の設置期間経過後は撤去する方針を打ち出しており、あくまでも臨時的措置と説明しています。
知事の記者会見で気になったのは「これをやるとしたら、全国初の取り組みになる」と胸を張っていたこと。「全国初」というようなマスコミ受けを狙った情報発信よりも、肝心なことは同センターが、いかに府内の他の医療機関等と連携し、大阪府民の医療面の安全・安心を守っていけるのかということ。構想段階とは言え、その辺りについて、より具体的な説明があれば、府民には分かり易かったと感じます。
多くの自治体首長たちが新型コロナに対して“やっている感”を演出したパフォーマンス合戦を繰り広げていますが、そうでないことを祈りたいものです。
(2020年7月度編集)