Q.院外広報誌を作るポイントは?
私の経営するクリニックは都心部にあり、相部屋・個室を合わせると10人の妊産婦が入院可能な産科・婦人科診療所です。ドクターは産婦人科医の私と、2名の女医、常勤・パート含めて10名超の助産師、7名の看護師が在籍し、診療所としては大所帯です。この他、産後うつやメンタル面で不安を抱えた妊産婦への支援として、地元の心療内科クリニックと連携しています。
開業して15年目を迎えますが、決して裕福な方だけでなく、生活保護を受けている妊産婦の方等、様々な生活背景を有する女性患者に対応する、かかりつけレディースクリニックとして活動を続けてきたつもりです。
ところで、当院でも遅ればせながら、クリニックの院外広報誌を制作したいと考えています。レディースクリニックという特徴は明確ですが、職員の中に編集経験者は皆無で、どのような企画内容を検討すれば良いのか、アドバイスを下さい。
(東京近郊 都心部 産科・婦人科クリニック 院長 医療法人理事長・63歳)
A.ターゲットをしっかり絞り、読者にとって有益な内容を編集テーマにしましょう
多くの病医院の広報誌を見て感じるのは、誰に何を訴えたいのか一貫したポリシーの感じられない媒体が多いことに気づかされます。医療機関の職員が自分の趣味的な文章を掲載し、読者不在のまま自分たちだけで楽しんでいるような誌面づくりが目立ちます。
それには一貫した編集方針がないことに原因があるのですが、レディースクリニックとしての編集方針として、読者対象になるのは地域のお母さん方、ママさん予備軍の若い女性、この他、成人病の不安がある壮年期・高齢の地域の主婦や働く女性たち等が想定されるでしょう。そして、「これらの女性たちに希求する情報は何か?」を検討し、そこから次のような編集テーマを仮に立ててみることにします。
(1)院長や副院長ら医師のお年寄りへの思いやりを強調する。
(2)地域のお母さん達の生の声を誌面に反映する
(3)女性の健康づくりに寄与するページを常設する。
このように基本的な骨格を作り、この3つを編集テーマにするのであれば、どんな誌面作りが出来るのかを考えてみます。例えば、(2)については貴クリニックで赤ちゃんを出産された地域のお母さんの1人に編集委員として参加して頂き、企画の提案やアイデアを出してもらい、それを院長・クリニック職員の編集委員会で検討し、誌面に反映するのです。編集委員は可能であれば、過去に出産された方に、交代で加わって頂く形も考えられるでしょう。
(1)については院長自らが随筆を連載するのも、院長の考え方を示す意味では効果的と思われます。(3)は食生活等、健康的なライフスタイルを作るための「暮らしの知恵」コーナーを作れば、主婦や中高年の女性たちには好まれるでしょう。例えば、管理栄養士が監修する「美味しくて健康な食事レシピ」は、病院の広報誌では「定番」企画として多く見られます。
前出(1)~(3)は仮のテーマに過ぎません。より良いテーマがあれば更に皆で出し合って、基本的な骨格が出来れば、アイデアはクリエイティブに次々と沸いてくるものです。
(2020年11月度編集)