医療業界は今後どうなる?現状から見る動向と対策

 少子高齢化や不景気の影響を受け、病院やクリニックをはじめとする医療業界は現在、厳しい状況に置かれています。そんななか、2025年問題や社会保障の変化など、今後はさらに状況が深刻化すると予想されています。このような不安材料に対応するには、起こりうる問題に対して早めの行動が欠かせません。今回は医療業界の現状と今後の動き、業界全体で取り組むべき問題について解説します。

高齢化の影響を強く受けている、医療業界の現状

 病院やクリニックなどの医療機関は、私たちが健康的な生活を実現するためには非常に大切な存在です。医療機関へのニーズは依然として変わらないものの、需要と供給のバランスが釣り合わないことが、2018年現在でも問題視されています。

高齢化に伴う医療サービスのニーズの変化と介護との連携

 2018年現在の病院病床は「精神病床」「感染症病床」「結核病床」「療養病床」「一般病床」の5つに分けられています。しかし、団塊の世代が75歳以上となる超高齢社会を迎える2025年に向けて、病院の機能分化が推進されています。病院やクリニックは急性期医療か慢性期医療かの選択を迫られることになり、「超急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に対して中核病院やクリニックが機能分化を行うこととなるのです。

 また、地域レベルで在宅医療と高齢者への医療・生活サービスを推進する「地域包括ケアシステムを」はじめとする「医療」と「介護」の垣根の見直しも検討されており、今後は病院・クリニックと介護事業所の連携が深まっていくことが予想されます。

医師不足とニーズの拡大

 一部の地域では、医師が不足しています。今後は、医療と介護を必要とする後期高齢者が増える一方、サービスを提供する医療従事者の数が高齢者側のニーズに合わなくなる可能性があります。加えて、訪問医療の必要性も高まっています。高齢のために足腰が弱まると通院が難しくなり、患者の家族の負担も大きくなるためです。医師や看護師などの医療従事者が患者の自宅を訪問し、必要な医療を提供する体制が求められます。

 医療従事者自身も訪問医療の重要性は認識してはいるものの、残業過多となっている状況下でなかなか適切な体制にできないのが実状かもしれません。 現在でも医療従事者の労働環境が問題視されていますが、2025年にはさらに厳しくなっているといえるでしょう。
 

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2025年問題が医療業界にもたらす影響とは

 現在でも少子高齢社会が話題にあがるなか、医療業界は2025年問題への対応が求められています。75歳以上の後期高齢者が約2,200万人に到達する2025年は、社会はもちろん医療業界に大きな影響をもたらすためです。

社会全体での労働低下

 高齢者が増え、若年層の人口が減少傾向にある現状は、2025年を迎えた時点でさらに加速すると考えられます。日本では若い世代による労働力が引退後の高齢者の生活を支えているため、この現状が進むと労働資源の減少が問題になります。 それに伴い、通常の医療はもちろん比較的医療が必要となる後期高齢者への十分な対応が難しくなり、医師や看護師の労働環境がさらに厳しくなるでしょう。

認知症患者の急増

 2025年には75歳以上の後期高齢者が増えることから、応じて認知症患者数も現在より増加すると予想されます。増え続ける認知症患者に対して医師や看護師など医療従事者の数が圧倒的に足りず、また介護従事者の不足も避けられません。そこで、後期高齢者の生活の質を維持したうえで医療・介護業界の負担を軽減するため、両業界のあり方の見直しが求められています。一例として、「地域包括ケアシステム」の実現が政府や医療従事者の間で議論されています。

社会保障制度への不安

 2025年になって後期高齢者が増えると、医療や介護へのニーズが高まることから、かかる費用が多くなります。医療・介護費の財源を国で確保しきれないため、社会保障費の増加や年金受給年齢の引き上げ、支給額の減少などが進められ、患者はもちろん家族への負担も今まで以上に大きくなるでしょう。  

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今後、病院・クリニックに求められる改善策

 医療業界の現状と2025年問題の影響力を考慮し、国は少子化や社会保障などに対して改善案を打ち出していますが、医療業界自体も今後に向けて解決策を実践していく必要があります。

地域と患者のニーズを考慮した医療の提供

 医療業界にまず求められるポイントは、地域と患者のニーズに寄り添った医療の提供です。今後、病院経営の観点からは、以下のいずれかの選択を迫られることになりそうです。

  • 基幹型の病院として高度医療を提供する病院として存続する
  • 地域医療を専門とする地域密着型の病院として医療サービスを提供する

なかでも後者の需要は今後高まると予想されるため、在宅医療や訪問医療など地域のニーズに合わせた運営が大いに役立ちます。

機能分化に合わせて特化した診療

 同時に、病院の機能分化に合わせ、症状や病気に特化した診療も求められます。急性期医療だけでなく慢性期医療にも力を入れ、患者の生活と健康を長期にわたって支えていく体制が必要になっていくでしょう。

病院間でのネットワークとIT化

 機能分化に伴い、病院間でネットワークを結び、必要に応じて協力しあえる体制を整えておくことも大事です。今後は病院の機能分化が進むため、専門分野を持つ病院同士の連携に加え、病院におけるリソース不足解消と患者への適切な医療提供の促進が求められるでしょう。 また、ビジネスの世界では当たり前のことになっていますが、医療の世界においてもますますITサービスの導入が進み、経営改善に力を発揮するでしょう。

 患者のカルテをクラウド上で一括管理すると、時間と場所を問わずに閲覧できるようになり、業務の効率化につながります。医療業界に普及するサービスに常に目を向け、実際の現場に活かしていくと、労働環境の改善にもつながります。

常に先を見た行動が、今後の助けになる

 医療業界の今後は、現状の過酷さがさらに厳しさを増すことになるでしょう。後期高齢者が増える2025年以降をふまえ、今からでも有効な対策を模索していく必要があります。現時点で課題となるポイントをつかんだうえでの対策が、将来の病院経営にも役立ちます。

参考:

 

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