医療IT最前線 第52回 コミュニケーション向上のための『お薬手帳』の活用
対物業務から対人業務へ
そのため、従来から行われてきた「対物(調剤)業務」から、コミュニケーションを重視する「対人(管理・指導)業務」への構造的な転換を進めようとしています。 2018年度の診療報酬改定でも、内服薬の「調剤料」が引き下げられ、対人業務に係る「かかりつけ薬剤師指導料」や「薬剤服用歴管理指導料」等の薬学管理料が引き上げられることになりました。
服用薬剤調整支援料の新設
この点数を算定するためには、調剤薬局の薬剤師が「お薬手帳」などで現在服用中の薬をトータルで管理し、患者さんに十分に説明を行った上で、処方元の診療所などに薬剤変更の提案を行う必要があります。常日頃からの患者さんとのコミュニケ―ションを図るのは当然のこと、スムーズな変更を行うためには処方元の診療所の医師とのコミュニケーションも大切になります。
適切な「お薬手帳」の活用
具体的には、6か月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が5割以下の薬局に対しては、「薬剤服用歴管理指導料(41点~53点)」が薬剤服用歴管理指導料の特例として13点になってしまいます。お薬手帳を用いてしっかりと管理指導することが求められているのです。 さらに、薬局における継続的な処方管理・患者さんへの指導を推進するため、薬剤服用歴の記録に「薬学的管理に必要な患者の生活像」と「今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点」を追加することを求めています。
一方で、対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるとして、「かかりつけ薬剤師指導料」や「薬剤服用歴管理指導料」が引き上げられる一方で、内服薬の「調剤料」が引き下げられています。
調剤薬局のミッション・役割の変化
近年、アドヒアランスという考え方が注目されており、いかに治療行為に患者さんを参加させるかが大切になっています。いかに患者さんに対して、お薬の説明を分かりやすくできるかがポイントとなります。また、診療所と調剤薬局が連携して減薬に取り組むことも高く評価されています。
これらのミッションを実現するために、調剤薬局における個々のスタッフのコミュニケーションのあり方の変更が余儀なくされることでしょう。
(2018年09月19日)