対物業務から対人業務へ

政府は患者ごとの薬剤を適切に管理することで、医療費抑制に貢献できると考え、調剤薬局を「かかりつけ薬局」と定義して積極的な患者への関与・介入を期待しています。そのため、従来から行われてきた「対物(調剤)業務」から、コミュニケーションを重視する「対人(管理・指導)業務」への構造的な転換を進めようとしています。

2018年度の診療報酬改定でも、内服薬の「調剤料」が引き下げられ、対人業務に係る「かかりつけ薬剤師指導料」や「薬剤服用歴管理指導料」等の薬学管理料が引き上げられることになりました。

服用薬剤調整支援料の新設

患者の意向を踏まえ、患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、処方される内服薬が減少した場合の評価として、「服用薬剤調整支援料(125点)」が新設されました。

算定要件としては、6種類以上の内服薬が処方されていた患者について、処方元の医師に対して薬剤師が文書を用いて提案・調整し、その患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に算定できます。

この点数を算定するためには、調剤薬局の薬剤師が「お薬手帳」などで現在服用中の薬をトータルで管理し、患者さんに十分に説明を行った上で、処方元の診療所などに薬剤変更の提案を行う必要があります。常日頃からの患者さんとのコミュニケ―ションを図るのは当然のこと、スムーズな変更を行うためには処方元の診療所の医師とのコミュニケーションも大切になります。

適切な「お薬手帳」の活用

また、患者さんとのコミュニケーションツールとして重要な役割を担っている「お薬手帳」をさらに普及させるために、お薬手帳の取り扱いについて変更が行われています。具体的には、6か月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が5割以下の薬局に対しては、「薬剤服用歴管理指導料(41点~53点)」が薬剤服用歴管理指導料の特例として13点になってしまいます。お薬手帳を用いてしっかりと管理指導することが求められているのです。

さらに、薬局における継続的な処方管理・患者さんへの指導を推進するため、薬剤服用歴の記録に「薬学的管理に必要な患者の生活像」と「今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点」を追加することを求めています。一方で、対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるとして、「かかりつけ薬剤師指導料」や「薬剤服用歴管理指導料」が引き上げられる一方で、内服薬の「調剤料」が引き下げられています。

調剤薬局のミッション・役割の変化

2018年度改定では前回の改定に引き続き、調剤薬局のミッション・役割の構造的転換が求められています。これからは患者さんに対して、「お薬手帳」を活用して、薬学的管理、適切な指導を行うことがメインのミッションとなります。近年、アドヒアランスという考え方が注目されており、いかに治療行為に患者さんを参加させるかが大切になっています。いかに患者さんに対して、お薬の説明を分かりやすくできるかがポイントとなります。また、診療所と調剤薬局が連携して減薬に取り組むことも高く評価されています。

これらのミッションを実現するために、調剤薬局における個々のスタッフのコミュニケーションのあり方の変更が余儀なくされることでしょう。

(2018年09月19日)