クラークを育てるのは難しい?

診療所でも、電子カルテを導入する際に入力業務を医師が行うか、クラークを配置し、医師とクラークが協力して行うか、を考える時代となりました。

しかしながら、診療所のクラークのメイン業務である、電子カルテの代行入力は、一気にスキルアップすることが難しい業務です。たとえば、クラーク候補生を医師の隣に座らせて「さあ、やってみましょう!」といっても、何を入力すれば良いのかわかりません。

それでは、あらかじめ手順を教えて「同じようにやってみて!」といっても、見様見真似では単に操作方法を覚えただけで、応用がききません。このやり方で進めても、クラーク候補生は戸惑うばかりで、なかなか育たないのです。

カルテを書く基本を教える

医師が期待するレベルの適切なカルテを書くためには、「疾患」「医療行為」「診療報酬」の3つの事柄が頭の中で、繋がっていなければなりません。クラークは、これらを一つひとつしっかりと理解する必要があるのです。

たとえば、鼻汁を訴える患者に対して、医師は診察をしながら、花粉症(アレルギー性鼻炎)や急性鼻炎、その他の症状があれば副鼻腔炎などの病気を疑い、投薬するか、注射をするかなど、どのように治療していくかを考えます。そして、診療報酬ルールに則って、算定できる点数を計上していくといった一連のストーリーを、カルテに書かなければならないのです。この流れを教えることが、カルテの書き方の基礎を教えることになります。

レセコン入力の延長線上にクラーク業務はある

このような話をすると、教える側の人間は、忙しい業務の中で、説明をするのはとてもできそうにないと考えてしまうかもしれません。しかし、私はそうは思いません。かつて、医療事務が手書きのカルテを見ながらレセコンに入力していた業務と、本質は変わらないと考えているからです。医療事務をしていた者ならば、十分な素地があるのです。

ただ、クラーク業務は、実際の診療現場に立ち会い、五感をフル稼働させてカルテを書くため、集中力が必要で、疲労感は大きなものでしょう。また、勉強する範囲も多岐に渡るため、時間がかかるでしょう。そのため、クラークを育成する専門の期間が存在するのです。時間さえかければ、自前でクラークを育成することは十分にできると考えます。

医師が日々考えていることを話すことでシンクロ率が高まる

医師の代わりに電子カルテに入力する業務は、(1)医師がどのように診察(主訴・所見)し、(2)どのように診断を下し(評価・病名)、(3)どのような治療を選択したかを理解し、(4)カルテとして記録に残す業務、と整理できます。日々、様々な患者の診療現場に立ち会うことで、医師の考えに近づく経験を積むことができます。それを続ければ、おのずと医師とのシンクロ率(同期率)が高まり、記載が充実するのはもちろんのこと、先取りが可能になります。

これを進めるためには、診察ごとの定期的なフィードバックが大切です。空いている時間帯に医師が診療の解説を根気強く行っていくことで、シンクロ率は高まっていくのではないかと思います。

(2018年11月06日)