組織が大きくなると運営が難しくなる

診療所は院長(医師)のもと、看護師やコメディカル(放射線技師、検査技師など)、事務員など様々な専門職種が、それぞれの役割を担って、組織として存在しています。小さい組織のうちは、院長のリーダーシップでなんとかコントロールすることは可能ですが、組織が大きくなるにつれて、徐々にコントロールが難しくなっていきます。これが診療所運営の難しさとなって現れます。

ベクトル合わせの場としての「院内勉強会」

そこで、組織をコントロールしていくために、組織全体の目標を明確化し、各自にその理解を促し、各自が進んで組織に貢献する意識が大切になっていきます。診療所は専門職種の集まりであり、また中途社員の比率が高いため、なかなか一筋縄ではいきません。ベクトルを合わせるのが難しいのです。そのような背景のもと、診療所という組織をまとめる上で、ベクトル合わせの場として「院内勉強会」を行う診療所が増えてきています。

医療制度(診療報酬)の勉強会

診療所を含む医療機関は、「療担規則(保険医療機関及び保険医担当規則)」というルールのもとで運営されています。また、仕事の対価については、「診療報酬」という2年に1度改正されるメニュー表に基づいています。この療担規則と診療報酬は本来全職種がある程度は理解して欲しいものですが、多くの場合、その専門部署である医療事務と経営者である院長は理解しているものの、他の職種はあまり知らないケースが多いように感じます。

そこで、我々はどんなルールのもとで仕事をしているかを理解するために「勉強会」のテーマとして選んでいます。ルールをしっかり勉強することで、自らの業務に迷いがなくなり、また、相互の役割も明確になります。医師・看護師・コメディカルの行った業務を医療事務が診療報酬点数に算定することで、運営が成り立っているということを改めて理解できるようになるのです。

電子カルテの勉強会

診療所の基幹システムである「電子カルテ」について、操作方法を先輩から後輩に教えることは定期的に行われています。電子カルテは定期的にバージョンアップを行いますので、その内容をみんなで理解したり、診療報酬改定に合わせて改めて操作確認をしたりするのも良いでしょう。また、電子カルテの定期処方セットやテンプレートの見直しを行うことで、システムの理解が進むとともに、カルテ(診療録)とレセプト(診療報酬明細書)の関係の理解ができ、診療行為と経営の関係まで理解が及べば、スタッフ全員の経営への参加意識が高まります。

疾患や薬に関する勉強会

「医薬品」については、定期的に製薬メーカーのMRが診療所を訪問して勉強会を開いています。この勉強会は薬のPRが基本目的のため、新しく出たお薬の説明が多いようですが、薬が誕生した歴史や従来の薬との比較、他メーカーの薬との棲み分け、副作用など、学べる部分は多く存在します。また、薬を知ることは同時に疾患の理解にもつながります。

コミュニケーションの勉強会

診療所にとって、勉強会といえば定番なのが接遇やコミュニケーションの勉強会です。診療所にとってのスタッフ間のコミュニケーションは、人間に例えれば、全身に酸素を運ぶ血液のようなものでしょう。血管が詰まれば当然血液は全身に回らなくなり、様々な機能不全を起こします。診療所経営も同じで、コミュニケーションが滞ると機能不全やトラブルが起きるのです。

勉強会は組織を一致団結する大切な場であることを忘れずに

最後に、院内勉強会の意味は、組織を一致団結することにありますので、常に組織を団結させるために、相互を理解する場であることを伝える必要があります。知識を得ることも大切ですが、同じ空間で共に学ぶ環境を作り出すことが本質であることを忘れてはなりません。

(MICTコンサルティング株式会社 大西 大輔)