3密対策とICT化(3)

※本記事は、下記記事の続きです。ぜひ併せてお読みください。

3密対策とICT化(1) https://carnas.njc.co.jp/ganmoku/a-056/
3密対策とICT化(2) https://carnas.njc.co.jp/ganmoku/a-057/

受付・精算業務の自動化

診療所は多くの場面で、受付スタッフと患者の接触があります。現在は、新型コロナ感染症疑いの患者がいつくるかわかりませんので、受付スタッフは常に恐怖を感じているかもしれません。そこで、受付でのスタッフと患者の接触を減らすために、受付業務や会計業務の自動化を検討してみてはいかがでしょうか。

受付業務の自動化

まず、受付の業務を大きく分けると、「受付業務」と「保険証の登録・確認業務」の2つに分解できます。

患者の「受付業務」は、もともと病院などでは自動で受付ができる「再来受付機」が活用されてきました。ただし、機械が高額であったことから、診療所では普及していませんでした。しかしながら、最近ではタブレット端末の活用による、低価格化のため、導入が進みつつあります。

この仕組みは、患者が受付をして、「いったん外出したい」という要望がある時に活用できます。流れとしては、受付機で診察券を読み込むと、順番が書かれたレシートが発行されます。このレシートを持っていれば外出先でも順番を確認することが可能となり、レシートに書かれたQRコードを読み込むと外から診察順番の進捗確認ができ、待合室の密を減らすことにつながります。

一方、「保険証の登録・確認業務」については、「オンライン資格確認」という事業を政府が進めようとしています。マイナンバーを保険証と紐づけ、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号を用いた、オンラインでの資格情報(保険の有効期限など)の確認が可能となります。

この仕組みは、2019年5月22日に公布された「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」において、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになり、2021年3月から「オンライン資格確認」が開始されることになりました。

受付で行われる保険証の登録・確認業務は、診療所にとって煩わしい業務です。例えば、保険証の登録に時間がかかったり、うっかり登録間違いをしたり、確認間違いなどが度々起きていました。

また、患者から提出された保険証を確認する際、実は失効していたり、変更になっていたりしても、医療機関がその場で確認することが不可能でした。保険証の内容が誤っているままレセプトを作成すると、返戻となって支払基金や国保中央会から戻ってきてしまいます。医療機関はその後、患者に再度確認を取り、変更点を修正し、再提出という手続きをとらなくてはなりません。

定期的に受診している患者なら、次に来院された時に確認すれば良いのですが、一度しか来ない患者であれば、電話やメール、手紙などで確認しなくてはならず、それは大変で時間のかかる業務です。

オンライン資格確認で変わること

オンラインで保険証の資格を確認でき、しかも自動で保険情報が登録できるようになると、保険証の登録や確認の間違い、失効した健康保険証による過誤請求などがなくなります。医療機関にとっては、まさに夢のような話でしょう。

また、保険証には顔写真はありませんが、マイナンバーカードには顔写真がありますので、それを活用することで、診療所において診療時における被保険者の本人確認が可能になります。これで、「なりすまし」や「保険証の友人間の譲渡」といった問題も解決するでしょう。

さらに、転職などで保険者が変わっても、新しい保険者が資格情報を登録することで新たな健康保険証の発行を待たずに、保険医療機関等で受診できるようになります。保険証の切り替わりによる、確認ミスや登録ミスも防ぐことが可能になるのです。

精算業務の自動化

診察終了後に患者の「自己負担金」を徴収する請求業務においても、自動化は受付スタッフと患者の「接触」を減らすことが可能です。

自動精算機は、もともと大きな病院を中心に普及していました。近年、診療所向けに小型化が図られ、価格もだいぶ安くなったことから、診療所でも導入が進みつつあります。また、政府がキャッシュレス決済を進めていることもあり、自動精算機とキャッシュレス決済の検討もされるようになりました。

さらに、今回のコロナ禍が精算業務の自動化を後押ししています。患者自らが精算業務を行うことが可能になり、受付スタッフと患者の接触が大幅に減少できると期待されているのです。

自動精算機を導入するメリットは、コロナ禍の密を減らすだけではなく、精算業務にかかる人件費を抑え、レジ締め作業もほぼ不要になる効果が期待されています。これまでのように、レジの金額が間違っていて、みんなで残業して原因を探るということがなくなるのです。また、受付スタッフはお金を触らなくなるので、安心するということも副次的な効果として報告されています。

(MICTコンサルティング株式会社 大西 大輔)

※続きの記事「3密対策とICT化(4)」はこちらからお読みいただけます。ぜひ続けてお読みください。https://carnas.njc.co.jp/ganmoku/a-059/

 

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