3密対策とICT化(4)

※本記事は、下記記事の続きです。ぜひ併せてお読みください。

3密対策とICT化(1) https://carnas.njc.co.jp/ganmoku/a-056/
3密対策とICT化(2) https://carnas.njc.co.jp/ganmoku/a-057/
3密対策とICT化(3) https://carnas.njc.co.jp/ganmoku/a-058/

補助金の活用

補助金の根拠となる予算(第二次補正予算)

今回ご紹介する補助金は、「医療機関・薬局等の感染拡大防止等のための支援」で、2020年6月の国会で「第二次補正予算」が成立したことで誕生したものです。第二次補正予算では、「ウイルスとの長期戦を戦い抜くための医療・福祉の提供体制の確保」という項目の中で、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の抜本的拡充として、2兆2,370 億円の予算が組まれました。具体的な内容は、以下の通りです。

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の抜本的拡充(国庫負担10/10)
【2兆2,370億円】
・医療提供体制の整備等について、新たにメニューを追加
・重点医療機関への支援、医療従事者等への慰労金の支給
・救急・周産期・小児医療機関の院内感染防止対策
・医療機関・薬局等の感染拡大防止等のための支援等
・介護・福祉分野の支援についても、新たに対象に追加
・感染症対策を徹底したサービス等の提供をするために必要な経費
・介護・障害福祉事業所の職員への慰労金の支給
・サービス利用の再開支援等

出典:新型コロナウイルス感染症対策関係 令和2年度 厚生労働省第二次補正予算案のポイント(厚労省)より抜粋

同補助金は10/10の国庫負担とするとしていますので、補助率は100%で医療機関の負担はないものとなります。

補助金の申請

同補助金は、都道府県が主体となって申請、給付を行っていくことになります。現在、都道府県のホームページ等で申請方法などの公表が順次されています。なお、自治体によって進捗が異なり、受付開始日や締切、申請書類についても異なりますので注意が必要です。  

現在、厚生労働省のホームページでは、「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業について」という交付金の申請サンプルが示されています。この情報から、大筋の補助金の概要が分かりますので、簡単にまとめておきます。なお、詳細については各都道府県のホームページ等を参考にしてください。

出典:医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kansenkakudaiboushi_shien.html

補助金の対象

同補助金の対象としては、以下のように例示されています。

(1)共通して触れる部分の定期的・頻回な清拭・消毒などの環境整備
(2)予約診療の拡大、整理券の配布等を行い、患者に適切な受診の仕方を周知
(3)発熱等の症状を有する新型コロナ感染症疑いの患者とその他の患者が混在しないよう、動線の確保やレイアウト変更、診療順の工夫など
(4)電話等情報通信機器を用いた診療体制等の確保
(5)感染防止のための個人防護具等の確保
(6)医療従事者の感染拡大防止対策(研修、健康管理等)

今回、ご紹介した「3密対策に有効なシステム」を導入する際に、該当する個所としては、まず「(2)予約診療の拡大、整理券の配布等を行い、患者に適切な受診の仕方を周知」は、予約システム、順番管理システム、ホームページなどが想定されていると考えられます。

次に、「発熱等の症状を有する新型コロナ疑いの患者とその他の患者が混在しないよう、動線の確保やレイアウト変更、診療順の工夫など」は、Web問診、レイアウト変更に伴う電子カルテ端末の増設、自動精算機・セルフレジなどが想定されると考えます。
「(4)電話等情報通信機器を用いた診療体制等の確保」は、オンライン診療、電話診療に係わるシステムが想定されると考えます。

ここに書かれた内容は、あくまで例示であり、これに限られるものではありませんと注記されていますので、申請の対象になるかどうかわからない場合は、原則に立ち戻り「感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用」に該当するかどうかを検討いただければと思います。

患者を守り、スタッフを守り、診療所を守る

コロナ禍における診療所経営において、日々難しい運営を余儀なくされていることでしょう。私は、安心安全な診療体制を確保することで、患者が受診しやすい環境を作り出し、受診控えの解消につながるのではないかと考えて、今回3密対策についてのシステムや、それに使える補助金をご紹介しました。
 
診療所経営の原理原則は、「地域医療への貢献」にあります。それは地域社会において絶対になくなってはいけないインフラとして、持続的な運営が必要であるという意味ではないでしょうか。そのためにも、患者を守り、スタッフを守り、診療所を守るという思いで日々の運営に取り組んでいただければと、僭越ながらご助言申し上げます。

(MICTコンサルティング株式会社 大西 大輔)

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